令和8年8月千葉豪雨により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
2026年8月13日、千葉市をはじめ千葉県内の複数の地域に大雨特別警報が発表され、建物の浸水、道路冠水、交通機関の運休など、さまざまな影響が発生しました。
事業用不動産を選ぶときは、立地・賃料・広さ・交通アクセスだけでなく、
「水害が発生した場合に従業員の安全を守り、事業を継続・再開できるか」という視点も欠かせません。
本記事では、倉庫・工場・事務所・店舗・貸地などを検討する際に確認したい、千葉市のハザードマップと水害リスクの5つのポイントをご紹介します。
事業用不動産の水害対策で確認したい5つのポイント
まず、事業用不動産の水害対策では、次の5点を確認することが重要です。
- 1. 洪水・内水・高潮など、水害の種類を確認する
- 2. 想定浸水深と浸水継続時間を確認する
- 3. 過去の浸水履歴と周辺道路を確認する
- 4. 建物・電気設備・在庫への影響を確認する
- 5. 水害対策・保険・BCP※まで確認する(※BCPについては下記の詳細をご確認ください。)
ハザードマップは物件選びの大切な資料です。
ただし、ハザードマップだけで安全性を判断することはできません。過去の浸水履歴、土地の高低差、建物の構造、周辺道路、設備の位置、事業内容などを組み合わせて確認することが重要です。
千葉市の最新の内水情報については、WEB版ハザードマップだけでなく、千葉市が公表している
「雨水出水浸水想定区域図」も併せて確認しましょう。
よしくん公的な参考資料などは、この記事の一番下にリンクをまとめておきましたので、ぜひご活用くださいね。
事業用不動産で水害リスクの確認が必要な理由
事業用不動産では、建物そのものが浸水しなくても、周辺道路の冠水や通行止め、停電、公共交通機関の運休などによって、事業活動が停止することがあります。
倉庫や工場では、次のような被害も考えられます。
- 商品・製品・原材料の浸水
- 工作機械や生産設備の故障
- キュービクルや分電盤などの電気設備の浸水
- 配送車両や営業車両の被害
- 従業員が出勤できない
- 商品の入荷・出荷ができない
- 停電や断水による操業停止
- 復旧までの休業や取引先への影響
つまり水害リスクは、「建物に水が入るかどうか」だけではなく、「被災後にどのくらいの期間で事業を再開できるか」という視点で考える必要があります。
ハザードマップとは?
ハザードマップは、自然災害による被害が想定される区域や、避難場所などを地図上に示したものです。



千葉市内の物件を調べるときは、次の公的なハザードマップを利用できますよ。
- 千葉市地震・風水害ハザードマップ:洪水、内水、高潮、津波、土砂災害などを確認できます。
- 国土交通省・国土地理院「重ねるハザードマップ」:住所を入力して、複数の災害リスクや土地の成り立ちなどを重ねて表示できます。



「水害」といっても、原因によって確認すべき情報は異なるんですね。
| 水害の種類 | 水害の主な原因 | 事業用不動産への主な影響 |
|---|---|---|
| 洪水・外水氾濫 | 河川の水位が上昇し、堤防から水があふれる堤防が決壊する | 建物や敷地の広範囲な浸水、設備・在庫の被害 |
| 内水氾濫 | 大雨に排水能力が追いつかず、 道路や敷地に雨水があふれる | 道路冠水、建物入口や地下・半地下部分への浸水 |
| 高潮 | 台風や低気圧により海面が上昇する | 東京湾沿岸部を中心とした浸水 |
| 津波 | 地震などにより大きな波が押し寄せる | 沿岸部の浸水、建物・設備への大きな被害 |
| 土砂災害 | 大雨により崖崩れ、 土石流、地滑りなどが発生する | 建物の損壊、道路の寸断、事業所の孤立 |
特に市街地では、近くに大きな河川がなくても、短時間の大雨によって内水氾濫が発生することがあります。
「川から離れているから大丈夫」と考えず、洪水と内水を分けて確認しましょう。
近くに大きな河川がない市街地でも発生する可能性があります。
水防法に基づく重要事項説明では、水害ハザードマップを使って、洪水・内水・高潮について対象物件のおおむねの位置を説明することが義務化されています。
重要事項説明だけで、建物設備、在庫、周辺道路、事業の休業期間など、個別の事業に対する影響まですべて分かるわけではありません。
実際の物件選びでは、津波や土砂災害も含め、事業内容に応じた確認が必要です。
ポイント1.洪水・内水・高潮などの種類を確認する
最初に、物件がどのような災害の影響を受ける可能性があるかを確認します。
千葉市内の物件では、次の情報を個別に確認しましょう。
- 洪水浸水想定区域
- 内水浸水想定区域
- 高潮浸水想定区域
- 津波浸水想定区域
- 土砂災害警戒区域
- 家屋倒壊等氾濫想定区域
特に注意したいのが、洪水と内水の違いです。


「大きな河川から離れているから水害の心配はない」とは限りません。市街地では、大雨に排水が追いつかず、道路や敷地に水がたまる内水氾濫が発生する場合があります。
また、面積の大きい工場・倉庫・貸地などでは、住所の代表地点だけでなく、敷地全体を確認することが重要です。
同じ敷地内でも、場所によって高低差や浸水想定が異なる可能性があります。
千葉市の内水情報を確認するときの注意点
千葉市は2026年3月、水防法に基づく「雨水出水浸水想定区域」を指定し、想定される浸水深と浸水継続時間を公表しています。
千葉市の案内によると、この情報は「千葉市地震・風水害ハザードマップ(WEB版)」へまだ反映されていません。
最新の内水情報については、千葉市が公開している「雨水出水浸水想定区域図」も併せて確認する必要があります。
WEB版ハザードマップだけで判断せず、最新の公表資料や更新日も確認しましょう。
ポイント2.想定浸水深と浸水継続時間を確認する
ハザードマップでは、色が付いているかどうかだけでなく、「どの程度の深さまで浸水する可能性があるか」を確認します。
同じ浸水想定区域内でも、想定浸水深が0.5メートル未満の場所と3メートル以上の場所とでは、建物や事業への影響が大きく異なります。
事業用物件では、想定浸水深と次の高さを比較することが大切です。
- 前面道路から敷地までの高さ
- 敷地から建物の床までの高さ
- 出入口やシャッターの高さ
- キュービクルや分電盤の設置位置
- 機械設備や制御盤の高さ
- 商品・在庫・重要書類の保管位置
「浸水継続時間」も確認しましょう。


浸水継続時間が長くなると、建物内の復旧だけでなく、従業員の出勤、車両の出入り、仕入れ、出荷、設備点検などにも長期間影響する可能性があります。
なお、ハザードマップに色が付いていない場所も、必ずしも安全とは限りません。
千葉市は、雨の降り方や土地の状態によっては、着色されていない場所で浸水が発生する場合や、実際の浸水深が地図の表示と異なる場合があると案内しています。
ハザードマップは安全を保証する地図ではなく、一定の条件に基づいて想定されるリスクを示した地図である、という点を押さえておきましょう。
ポイント3.過去の浸水履歴と周辺道路を確認する
ハザードマップと一緒に確認したいのが、過去の浸水履歴です。
千葉市では、過去に市内で発生した店舗内浸水、床上・床下浸水、道路冠水などを「浸水履歴」として公開しています。過去の浸水履歴がある場合は、次の内容を確認しましょう。
- いつ浸水したか
- 建物内浸水か道路冠水か
- 周辺で繰り返し発生していないか
- 近くに河川、水路、低い道路がないか
- その後、排水施設などの対策が行われたか
一方で、浸水履歴がないからといって、今後も浸水しないとは限りません。
過去の実績と将来の想定を、両方確認することが大切です。
物件までの進入路も確認する
事業用不動産では、敷地内と同じくらい「物件まで安全に行けるか」が重要です。
次の項目も確認しましょう。
- 前面道路に冠水履歴がないか
- 周辺にアンダーパスや低い道路がないか
- 河川や水路を渡るルートに依存していないか
- 大雨時にも利用できる代替ルートがあるか
- トラックや営業車両が進入できるか
- 高速道路のインターチェンジまで複数のルートがあるか
- 従業員が安全に帰宅・避難できるか


建物に直接の被害がなくても、道路の冠水や通行止めによって、物流や営業活動が止まる可能性があります。
ポイント4.建物・電気設備・在庫への影響を確認する
現地では、地図だけでは分からない建物や敷地の状況を確認します。
- 前面道路より敷地が低くなっていないか
- 建物の床が敷地よりどの程度高いか
- 出入口やシャッター前に水が集まりやすくないか
- 側溝や排水口が整備されているか
- 敷地内に水がたまりやすい場所がないか
- 地下室、半地下、ピットがないか
- 止水板や排水ポンプを設置できるか
可能であれば、晴れた日だけでなく、雨天時や雨上がりの状況も確認すると、敷地の排水傾向が分かりやすくなります。
電気設備・機械・在庫で確認したいこと
国土交通省と経済産業省が公表している「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」では、受変電設備が浸水すると、建物全体の停電や給水設備などの停止につながる可能性が示されています。
事業用物件では、次の設備の位置を確認しましょう。
- キュービクル、受変電設備
- 分電盤、制御盤
- 非常用発電設備
- サーバー、通信機器
- 工作機械、生産設備
- 冷蔵、冷凍設備
- 商品、製品、原材料
- 重要書類、契約書、データ
想定浸水深が比較的浅い場合でも、床に直接置かれている機械や在庫、低い位置に設置された制御盤が被害を受けることがあります。
設備や商品を高い場所へ移動できるか、ラックによるかさ上げが可能か、重要データを別の場所へバックアップできるかも確認しましょう。
ポイント5.水害対策・保険・BCPまで確認する
水害リスクのある物件だからといって、一律に選択肢から外す必要はありません。
想定されるリスクの程度と、実施できる対策を比較して判断することが重要です。
検討したい主な水害対策


- 出入口への止水板の設置
- 排水ポンプの設置
- 設備や在庫のかさ上げ
- 電気設備やサーバーの高所移設
- 重要書類やデータの分散保管
- 車両・機械・商品を移動する基準の設定
- 大雨時の営業中止・操業停止基準の設定
- 従業員への連絡方法と避難経路の共有
- 代替拠点、代替仕入先、代替配送ルートの確保
賃貸物件の場合、止水板や排水設備の設置、電気設備の移設などに、貸主の承諾が必要になることがあります。対策費用を誰が負担するか、工事の可否、原状回復の範囲なども契約前に確認しておきましょう。
水災補償と休業補償を確認する
事業用の火災保険は、契約によって水災補償の有無や対象範囲が異なります。建物だけでなく、設備・什器、機械、商品・製品、原材料、屋外設備、車両などが、どこまで補償されるかを確認しましょう。
また、建物や設備の損害が補償されても、休業中の利益減少や追加費用がすべて補償されるとは限りません。必要に応じて、休業補償についても確認しましょう。
BCP(事業継続計画)を作成する
BCPとは、災害などが発生したときに、重要な事業を継続または早期復旧するための計画です。
中小企業庁では、防災・減災の事前対策をまとめた「事業継続力強化計画」の認定制度を設けています。
物件選びの段階から「被災したらどう復旧するか」を考えることで、より現実的な水害対策につながります。


物件の種類別に確認したいこと
| 倉庫 | 商品の保管高さ、ラックの配置、トラックバース、シャッター、荷さばき場、駐車場の排水状況を確認します。 |
| 工場 | 工作機械、生産ライン、制御盤、原材料、油や薬品などの保管場所を確認します。設備のかさ上げや流出防止対策も重要です。 |
| 事務所 | パソコン、サーバー、重要書類の保管場所に加え、従業員の避難経路、テレワーク体制、データのバックアップ方法を確認します。 |
| 店舗 | 来店客と従業員の安全確保を優先し、営業を中止する基準、避難方法、商品や冷蔵設備への影響を確認します。 |
| 貸地・資材置場・車両置場 | 建物がない土地でも、車両、建設機械、資材などが浸水したり流出したりする可能性があります。 敷地の高さ、排水状況、資材の固定方法、車両の移動先などを確認しましょう。 |
お役立ち情報|千葉市の「土のうステーション」
千葉市では、道路の段差解消や道路からの浸水被害を軽減するための応急措置として、どなたでも自由に土のうを取り出せる「土のうステーション」を市内に設置しています。
浸水や冠水への備えとして、物件周辺の設置場所を平常時に確認しておくと安心です。


花見川区内の土のうステーション
花見川区内では、次の9か所が案内されています。
- 幕張本郷4丁目2-6/京葉道路高架下
- 瑞穂1丁目1/花見川区役所敷地内
- 千種町300/千葉工業大学グラウンド脇
- 天戸町394-2/天戸大橋脇・天戸台交差点側
- 犢橋町2067-1/天戸大橋脇・広尾十字路側
- 武石町1丁目203/武石大橋脇・下り線
- 武石町1丁目350/武石大橋脇・上り線
- 犢橋町158/犢橋脇・下り線
- 犢橋町124/犢橋脇・上り線
設置場所は変更される可能性があるため、利用前に千葉市「土のうステーション」で最新情報をご確認ください。
土のうステーション利用時の注意点
千葉市は、利用にあたって次の注意事項を案内しています。
- 目的外の使用はできない
- 土のうには限りがあるため、持ち出しは必要最低限とする
- 利用後は、補充のためカバーに記載された土木事務所へ連絡する
- 使用した土のうは利用者が管理し、市による回収は行わない
- 不要になった土のうは、利用者が専門業者へ依頼するなど適切に処分する
- 土のうステーションに専用駐車場はない
- 災害時は利用が集中し、補充できない場合がある
土のうは浸水被害を完全に防ぐものではなく、あくまで応急的な対策です。
大雨が降り始めてから取りに行くことが危険な場合もあります。設置場所や利用方法は平常時に確認し、災害時には土のうの確保よりも安全な避難を優先してください。
花見川区の土のうステーションに関するお問い合わせ先は、花見川・稲毛土木事務所維持建設課です。
電話:043-257-8843
よくあるご質問
Q.ハザードマップに色が付いていなければ安全ですか?



いいえ。着色されていない場所でも、想定を超える大雨、局地的な地形、排水能力を上回る降雨などにより浸水する場合があります。過去の浸水履歴や土地の高低差、周辺道路も併せて確認しましょう。
Q.洪水と内水氾濫は何が違いますか?



洪水は、河川から水があふれたり、堤防が決壊したりすることで発生します。内水氾濫は、大雨に下水道や排水施設の能力が追いつかず、道路や敷地に雨水があふれる現象です。近くに大きな河川がない市街地でも発生する可能性があります。
Q.重要事項説明を受ければ、水害リスクを十分に把握できますか?



重要事項説明では、水防法に基づくハザードマップを使って、対象物件のおおむねの位置が示されます。しかし、建物設備、在庫、周辺道路、事業の休業期間など、個別の事業に対する影響まですべて説明されるわけではありません。
Q.水害リスクがある物件は避けた方がよいですか?



必ずしも一律に避ける必要はありません。想定浸水深、浸水継続時間、建物の床高、設備の位置、実施できる対策、保険、賃料や購入価格などを総合的に比較して判断します。
Q.土のうステーションの土のうは誰でも利用できますか?



千葉市は、どなたでも自由に取り出せると案内しています。ただし、利用目的や持ち出し数量、利用後の管理・処分などの注意事項があります。必ず千葉市の公式案内を確認して利用しましょう。
まとめ
事業用不動産の水害リスクは、ハザードマップに色が付いているかどうかだけでは判断できません。
次の5つの視点を組み合わせて確認することが重要です。
- 洪水・内水・高潮などの水害の種類
- 想定浸水深と浸水継続時間
- 過去の浸水履歴と周辺道路
- 建物・電気設備・在庫への影響
- 水害対策・保険・BCP
ハザードマップは、物件を一律に避けるためのものではなく、想定されるリスクを知り、必要な対策と事業への影響を検討するための資料として大切です。
倉庫・工場・事務所・店舗・貸地などを検討する際は、広さや賃料、交通アクセスとともに、「災害時にも従業員の安全を守り、事業を継続できる立地・建物か」という視点を持つことが大切です。
よし不動産では、千葉市花見川区・千葉北インターチェンジ周辺を中心に、工場・倉庫・事務所・貸地・事業用地などのご相談を承っています。ご相談の際に、その近郊に関してのリアルタイム情報もお伝えしております。物件をご検討の際は、ハザードマップなどの公的情報も確認しながら、事業内容に合った立地を選びましょう。
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執筆: 有限会社よし不動産
※本記事は2026年8月21日時点の公表情報をもとに作成しています。ハザードマップ、土のうステーションの設置場所、行政情報などは更新される場合があります。最新情報は国・千葉県・千葉市の公式サイトをご確認ください。
参考となる公的情報
- 千葉市地震・風水害ハザードマップ
- 千葉市「不動産取引事業者の方へ」
- 千葉市「雨水出水浸水想定区域の指定」
- 千葉市「土のうステーション」
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
- 国土交通省「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化」
- 国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策」
- 中小企業庁「事業継続力強化計画」






