知っておきたい『所有型』企業立地支援制度
工場や事務所、事業用地を探すとき、立地・面積・価格・交通アクセスは欠かせない検討材料です。そこにもう一つ、確認しておきたいのが企業立地に関する千葉市の支援制度です。
青葉さん千葉市で工場用地を探しています。補助金の話は、物件が決まってから調べればいいですよね?



じつは、物件探しの段階から確認しておくのがおすすめなんです。理由はこの記事の後半で説明しますね!
千葉市には、市内に新たな拠点を取得する企業を対象に、固定資産税・都市計画税相当額や雇用に関する費用を支援する「企業立地補助制度」があります。


(参考資料:千葉市企業立地パンフレット2026)
今回の記事では、工場や事務所などを建設・購入して自社で所有する場合に検討できる「所有型」をご紹介します。今後、不動産豆知識コラムでは、シリーズ化して掘り下げていきます。
市外から進出する企業だけでなく、すでに市内で事業を行っていて、新しい拠点の設置や追加投資をする企業も対象となる制度があります。
どんな業種が企業立地補助制度の対象になる?
千葉市の企業立地補助制度は、幅広い業種の企業が対象となっています。
対象となる主な業種には、製造業、情報通信関連業、運輸業、卸小売業、物品賃貸業のほか、国家戦略特区関連産業、学術研究・専門・技術サービス業、飲食サービス業などがあります。
また、地域や補助制度の種類によっては、建設業・自動車整備業、MICE関連産業なども対象となります。


(参照:千葉市企業立地パンフレット2026)
さらに、一定の条件を満たす上場・公開企業やその連結子会社、特定創業支援施設の卒業企業などについては、業種の制限を受けない場合があります。千葉市では特に、
「IT・クリエイティブ産業」「食品・健康生活実現型産業」「先端・素材型ものづくり関連産業」
を「コア業種」として位置づけており、該当する企業については、原則として税に係る補助期間を1年延長する特例も設けられています。自社の事業が対象になるかどうかは、業種だけでなく、立地するエリアや利用する制度、雇用条件などによっても異なるため、具体的な計画段階で確認することが大切です。
どのような施設・地区・地域が補助の対象になる?
企業立地補助制度では、業種だけでなく、立地する「施設」についても対象が定められています。対象となる主な施設は、工場、環境関連施設、研究開発施設、倉庫、事務所、流通加工施設、社員寮などです。
製造拠点だけでなく、研究開発や物流、オフィスなど、企業活動に必要な幅広い施設が対象となっていることも、この制度の特徴のひとつです。
一方で、施設の種類によっては、対象となる地域や用途などに条件があります。たとえば環境関連施設や倉庫、社員寮については、それぞれ対象となる地区や施設の要件が定められています。
また、補助の対象となる施設は、それぞれの用途地域で建築可能な建物であることが前提です。


(参照:千葉市企業立地パンフレット2026)
実際に事業用地や事業用物件を検討する際には、「自社の業種が対象になるか」だけでなく、
「予定している施設が対象になるか」「その施設を希望する地域に建築できるか」まで合わせて確認しておくことが大切です。では、千葉市内のどの地区・地域が対象になるのでしょうか。


(参照:千葉市企業立地パンフレット2026)
では、実際にどのような支援を受けられるのでしょうか。
ここからは「所有型」「賃借型」など、立地方法ごとの支援内容を見ていきます。今回のコラムは「所有型」について掘り下げていきます。
「所有型」とは?
千葉市の企業立地補助制度には、事業所の持ち方や投資の方法に応じた区分があります。「所有型」は、市内で土地や建物を取得し、工場・研究開発施設・事務所・流通加工施設などを新たに設ける企業向けの制度です。


たとえば、次のようなケースで対象になる可能性があります。
- 千葉市に自社工場を新設したい
- 事業拡大に合わせて、新しい土地と建物を取得したい
- 本社機能を千葉市へ移したい
- 物流拠点を新たに整備したい



「所有」というと、借りる場合とどこが違いますか?



不動産を所有すると、固定資産税・都市計画税を自社で負担することになるんです。借りている場合は貸主が納めていて、賃料の中に織り込まれているイメージですね。所有型の補助は、この税負担に注目した制度なんですよ。
2026年版の千葉市企業立地パンフレットでは、所有型として主に「ちば共創企業重点立地事業」「工場等新設立地事業」「本社立地事業」「新港地区企業立地事業」「特定流通業務施設立地事業」が設けられています。


(参考文献は一番下にリンクを貼っております。ご参考ください。)
対象エリアは幅広い
「工場等新設立地事業」の対象地区は、工業専用地域・工業地域・準工業地域のほか、一定の商業地域・近隣商業地域、千葉都心地区、幕張新都心地区、蘇我特定地区、千葉土気緑の森工業団地、ちばリサーチパーク、ネクストコア千葉誉田・千葉生実、み春野流通パーク、IC周辺地域などです。



工業専用地域や準工業地域などは、「用途地域」について以前の記事でも、よしくんより教えてもらっていましたね。



はい!よく覚えていらっしゃいましたね!用途地域は、都市計画法で定められた全部で13種類の区分で、そこに建てられる建物の種類や規模が決まっているんです。たとえば工業専用地域は住宅を建てられない、工場向きのエリア。同じ「事業用地」でも、用途地域によってできることが変わるんです。
千葉北エリアで事業用不動産を探している企業は、とくにここを確認しておきたいところです。千葉北IC周辺には工場・倉庫・事務所・事業用地などさまざまな物件がありますが、支援の対象範囲や用途の条件は物件ごとに異なります。物件候補が見つかった時点で「この所在地は補助制度の対象になるのか」まで確認しておくと、その後の事業計画が立てやすくなります。



用途地域についての記事を読み返したい方は、この記事の一番下のリンクをご参照くださいね。
工場や事務所を取得すると、どのような支援が受けられる?
所有型の大きな特徴は、取得した固定資産にかかる固定資産税・都市計画税相当額への補助です。
多くの工場・事務所の取得で検討対象となる「工場等新設立地事業」では、一定の投資・雇用要件を満たすと、この補助を受けられます。2026年版パンフレットでは、次のとおりです。
- 通常の場合:上限1億円/年・2年間
- 大型特例に該当する場合:上限5億円/年・4年間
さらに、「IT・クリエイティブ産業」「食品・健康生活実現型産業」「先端・素材型ものづくり関連産業」など、千葉市が定めるコア業種に該当する場合は、原則として税に関する補助期間が1年間延長されます。





そもそも、固定資産税ってどのくらいかかるんですか?



標準税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税は上限0.3%(市街化区域内の土地・建物が対象)。課税されるのは、その年の1月1日時点の所有者です。税額は評価額をもとに計算されるので、物件価格とあわせて確認しておきましょう。
取得後も固定資産税などの負担は続き、事業計画に影響します。物件価格とあわせて、立地後にどの程度の固定費がかかるのか、使える支援制度があるのかを確認しておくと、より具体的な資金計画を立てられます。
「工場等新設立地事業」には投資・雇用の要件があります
数字が出てくる部分なので、順を追って見ていきます。2026年版の制度では、基本要件として、まず
取得固定資産評価額 1億円以上
を満たしたうえで、
取得固定資産評価額 + 常時雇用者数 × 1,000万円 = 2億円以上
となることが求められます。


千葉市の企業立地セミナー資料でも同じ考え方が示されています。
たとえば、取得固定資産評価額が1億円で常時雇用者が10人の場合、
1億円 + 10人 × 1,000万円 = 2億円
となり、要件を満たします。設備や不動産への投資額だけでなく、投資規模と雇用の両方で判定する仕組みです。



「評価額」って、買った値段のことですよね?



じつは別物なんです。「固定資産税評価額」は、売買価格とは別に市が決めている評価額で、土地の場合は公示地価の7割程度が目安といわれています。要件で使う金額の考え方は、千葉市企業立地課に確認しておくと安心ですね!
実際には、対象地区・施設・業種などにも条件があります。具体的な事業計画については、千葉市企業立地課へご確認ください。
雇用への支援もあります
所有型には、不動産や設備への投資に加えて、市民雇用を支援する「雇用奨励補助」もあります。
2026年の制度では、所有型企業立地補助金の対象企業が、千葉市在住の新規常時雇用者や、新たに千葉市へ転入した常時雇用者を雇用した場合、1人あたり30万円が支援されます。
操業開始時の雇用を対象とする「スタートアップ型」に加えて、その後の雇用増加を支援する「フォローアップ型」も設けられています。
補助限度額は、それぞれ最大1億2,000万円、または直近の法人市民税と事業所税の合計額の2分の1までとされています。







建物だけじゃなく、人を雇うことも支援の対象なんですね!



そうなんです。工場は建てて終わりじゃなくて、そこで働く人がいてこそ動き出します。制度が「建物への投資」と「人への投資」の両方を見ているのは、そのためなんです。
工場や事業所の新設は、建物を取得して終わりではありません。新しい拠点で働く人材を確保し、地域に雇用を生み出すことも、企業立地の大切な要素です。千葉市の制度は、「建物や設備への投資」と「人への投資」の両面を支える仕組みといえます。
実際の支援額は?千葉市の試算例
千葉市が2026年版パンフレットで紹介している試算例を見てみましょう。
【想定条件】
土地5億円、建物5億円、償却資産3億円を取得し、新規採用や千葉市への転入者を含む市民雇用者10人の工場を立地するケース(「工場等新設立地事業」とコア業種特例を利用)
【試算結果】
- 固定資産税・都市計画税への補助:1年間 約1,610万円、コア業種特例を含む3年間で 約4,830万円
- 雇用奨励補助(スタートアップ型):300万円
- 雇用奨励補助(フォローアップ型):300万円(一定期間後に市民雇用者が10人増加した場合)
- 千葉県の企業立地支援制度も組み合わせた場合:市と県の合計で 約7,110万円





思ったより大きな金額ですね! うちも同じくらい受けられますか?



あくまで千葉市が設定した試算例です。金額は評価額や業種、雇用人数、立地場所によって変わるので、自社の計画で試算してもらうのが確実ですね。
これは千葉市が設定した条件による試算例で、実際の補助額は、土地・建物・償却資産の評価額、業種、雇用人数、立地場所、事業内容などによって変わります。それでも、事業用不動産を取得する際に支援制度を事前に確認する意味がよく分かる数字ではないでしょうか。
本社移転や物流施設にも専用の制度があります
所有型は工場だけを対象にした制度ではありません。
- 本社立地事業:本社やそれに付帯する施設を取得する場合。2026年版パンフレットでは、固定資産税・都市計画税相当額について上限5億円/年・4年間
- 新港地区企業立地事業:新港地区に立地する場合
- 特定流通業務施設立地事業:一定の物流施設を整備する場合



物流拠点にするなら、倉庫はどこにでも建てられますか?



倉庫は、用途地域によって建てられる種類や規模が変わるんです。さらに、物流施設はトラックの出入りのしやすさも大事。道路の幅や接道状況もあわせて見ておきましょう。
「工場を建てたい」「本社を移転したい」「物流拠点を作りたい」「研究開発拠点を新設したい」など、立地の目的は企業ごとに異なります。まずは目的に合った制度を確認することが、支援制度を上手に活用する第一歩です。
カーボンニュートラルへの投資にも支援
千葉市では、企業立地補助制度に加えて、カーボンニュートラルの実現につながる投資への上乗せ支援も行っています。所有型の公式案内では、対象投資に向けた「カーボンニュートラル特例奨励補助金」が案内されています。
省エネルギー設備や脱炭素への取り組みは、新たに工場や事務所を建てる企業にとって、事業計画上ますます重要になっています。建物の計画段階から、企業立地支援と環境関連の支援をあわせて確認しておくと、設備計画の選択肢も広がります。


大切なのは「物件探しの段階」からの確認
補助制度を活用するうえで特に重要なのが、手続きのタイミングです。2026年版パンフレットでは、施設の整備に着手する前に事業計画の認定を受ける流れが示されています。





あ、だから最初に「物件探しの段階から」って言っていたんですね!



そのとおり! 先に契約や着工を進めてしまってから制度を知っても、間に合わないことがあるんです。契約や着工の前に、一度企業立地課へ相談しておくと安心です。
物件を探す段階から、次の4点を整理しておくと、利用できる制度を確認しやすくなります。
- どこに立地するのか
- どのような施設を取得するのか
- どのくらいの投資を予定しているのか
- 何人程度の雇用を予定しているのか
とくに工場や事業用地は、一度取得すると立地場所を簡単には変えられません。物件の立地条件と企業立地支援制度をあわせて確認する視点が大切です。企業の皆様と千葉市の手続きの具体的な流れは下記の通りです。


(参考資料:千葉市企業立地パンフレット2026)
千葉北エリアは、千葉北ICを中心に高速道路や主要幹線道路へのアクセスを活かしやすく、工場・倉庫・事務所・事業用地など、さまざまな事業用不動産があります。物件を検討する際は、面積・価格・接道条件・用途地域などとあわせて、企業立地支援制度の対象となる可能性もぜひ確認してみてください。同じ事業計画でも、立地場所や施設の内容によって、利用できる支援制度が変わることがあります。



物件を見るとき、ほかにチェックしておくことはありますか?



建物を建てるには、原則として幅4m以上の道路に2m以上接していることが必要(接道義務)です。大型車が出入りする工場や倉庫では、この道路の幅や状況がとくに大切なんです。あわせて、用途地域や建ぺい率・容積率も確認しておきましょう。
よし不動産では、千葉北エリアを中心に、企業の事業計画に合わせた工場・倉庫・事務所・事業用地をご案内しています。
- 千葉市に新しい工場を構えたい
- 事業拡大に合わせて土地を探している
- IC周辺で事業用不動産を検討している
このような際には、お気軽にご相談ください。物件探しの段階から、その先の事業まで見据えた不動産選びをお手伝いします。



なんだか、できそうな気がしてきました!



まずは気軽に相談してください。物件探しの段階から、いっしょに考えましょう!
※本記事は、2026年時点の千葉市公表資料をもとに作成しています。企業立地補助制度には、対象地区・業種・施設・投資額・雇用人数などの各種要件があります。制度内容は今後変更される場合がありますので、具体的な利用にあたっては千葉市企業立地課へ最新情報をご確認ください。
参考: 千葉市「企業立地補助制度(所有型)」/「千葉市企業立地パンフレット2026」
参考にした公的情報は、千葉市「企業立地補助制度(所有型)」と「千葉市企業立地パンフレット2026」です。 千葉市
千葉市「企業立地補助制度(所有型)」
- 千葉市|企業立地補助制度(所有型)
今回の記事の中心となる公式ページです。新規取得・市内拠点への追加投資に対する固定資産税・都市計画税相当額、雇用奨励、カーボンニュートラル関連の支援が案内されています。2026年5月8日更新です。 千葉市
千葉市「企業立地補助制度(所有型)」 - 千葉市|令和8年度 所有型企業立地補助制度の案内[PDF]
所有型について、対象となる事業や要件、補助内容などを確認できる千葉市の公式資料です。今回いただいたパンフレット内容を確認する際にも重要な資料です。 千葉市
千葉市「所有型企業立地補助制度」PDF - 千葉市|千葉市企業立地パンフレット2026[PDF]
所有型だけでなく、賃借型やその他の企業立地支援制度、試算例などをまとめて確認できます。今回の記事で取り上げた補助制度や試算を確認する一次資料として適しています。 千葉市
「千葉市企業立地パンフレット2026」 - 千葉市|企業立地ガイド
千葉市の企業立地に関する制度や最新情報をまとめて確認できる入口ページです。令和8年度の企業立地パンフレットもこちらから案内されています。 千葉市
千葉市「企業立地ガイド」 - 千葉県|立地企業への優遇制度
千葉県による企業立地補助金や税制優遇などを確認できます。県の制度では、工場立地、本社立地、研究所立地などについて要件・補助内容が示されています。千葉市の制度と県の制度をあわせて検討するときの確認先です。2026年5月29日更新です。 千葉県
千葉県「立地企業への優遇制度」
※本記事は2026年10月時点の千葉市・千葉県の公表情報をもとに作成しています。企業立地支援制度には、対象地域、施設、投資額、雇用などの要件があります。制度内容は変更される場合がありますので、具体的な事業計画については千葉市企業立地課などの公的窓口へ最新情報をご確認ください。









